人類が誕生してから20万年

 今、この世に生きている人たちは、ぼくにとっては「同世代人」だと思っています。ゼロ歳も100歳も、同じ世代。極端かも知れませんが、同じように「明日死ぬかも知れない存在」なんですよね。

 人類20万年の歴史の中で、80年っていうのは、わずか0.04%に過ぎないんですね。ぼくはその0.04%の中で、わたしゼロ歳、わたし100歳って比べてもしょうがないって思うんです。

 草花が芽が出て、花が咲いて、枯れていくように、人間一人一人もこの80年で変化をしていきます。それは文字通り状態の変化であり、人間にとっては、カラダの変化なんですね。それは受け止めて、味わうだけだと思うんです。

 カラダのどこかが「動けなくなった。」って思って、それを年齢のせいにしたら、もうその時点で取り戻せないんですよね。だって年齢は戻りませんから。

 人は「見えないこと」は信じない、非科学的だと簡単に言うけれど、老化のメカニズムなんてものは、実際には見えないんですね。日常の呼吸やカラダの機能ですら、見えないし、ましてや細胞の変化なんてものは、どれだけ理論が作られようと見えないわけです。

 そういうものを、どうしてだか、人は信じてしまいます。そして、その通り、信じて生きて、死んでいきます。もちろん、それはそれで幸せなんだと思います。